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きらめき子育て賞
太陽
第7回きらめき子育て賞
体験記部門
入賞作品10編

影土井 洋治

金生 剛昌

紀村 修一

鴻野 享子

笹川 めぐみ

清木 香奈枝

東山 敏忠

中原 雄

古屋 陽子

横山 勝子

※掲載は作者名五十音順
第7回きらめき子育て賞の詳細については、以下もご覧ください。
 「愛情300%」
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 「今週はいなりずし、来週はサラダ巻き、その次の週はさけとわかめのおにぎりで…おかずは、から揚げ、ポテトサラダ…う〜ん、ネタ切れ。」
 とは、去年の九月。世は運動会シーズン。中学校・小学校・幼稚園と毎週やってくる運動会のお弁当の中身に、もともと料理のレパートリーに欠ける私は、頭をかかえていた。こんなことで、差をつけられたと責められるのは嫌だ。実際、身長もはるかに私を超えたニキビ面・野球坊主・思春期真っ只中の長男(中二)も私にとっては永遠のかわいいお兄ちゃん。最近目線がやけに私に近くなってきたと思ったら、言う事も一丁前、平和主義者で「まぁ、そんなもんなんよ」と上から目線でわたしを諭す次男(小六)もいつもニコニコ愛おしい。そして、いつもお母さんと一緒が当たり前。年の離れたお兄ちゃん達にあまやかされ、お父さんにあまやかされ…みんなの癒しの三男(年長)。いずれも劣らず個性的な三兄弟だが、同じように接するのは、本当に難しい。
 運動会に限ったことではない。参観日、野球の試合、発表会、親子遠足、その他学校行事、土日平日問わず重なりまくり、主人と私は大忙し。色々な人に迷惑をかけているハズだし、実際に助けてもらっている。二人とも体力には自信があるのだが「分身の術」本当にあるのなら、学習しておけば良かった・・・。
 愛情の三分割はあり得ない。百%を三人に注いでいる(つもりだ)が、私達家族五人それぞれが抱える「我慢」は否めない。野球の応援になかなか行ってやれないお兄ちゃん。甘えたい時に甘えさせてやれない次男。お出かけはお兄ちゃん達の野球の応援ばかり、遊園地になかなか行けない三男。そして、気づいたことが一つ。主人と私は、忙しいのがツラくて困っている訳ではない。「野球の応援に行きたい私」「甘えさせて抱っこしたい私」「好きな所に連れて行ってあげたい私」その他、子どもに関わるすべてのことに、嫌々させられている事は一つも無く、「やりたい」のに「できない」ことに困っているのである。
 そんな親の心を知ってか知らずか、三兄弟は、今日もそれぞれ自由人。学校に呼び出され先生から怒られたり、怪我をして帰ってきたり色々あるけれど、その度に本気でぶつかり泣いたり笑ったり。この子達と一緒に私も人として、親として、成長する毎日。
 思えば、小さすぎて危うい命だった次男が生まれた日、突然喘息を発症し入院した長男。三男が生まれて一年が過ぎた頃、突然小学校に行きたくない、お母さんと一緒にいたいと言った次男。みんな「我慢」の一歩目を踏み出していたのだ。「我慢」は、「思いやり」「気づかい」「協力」と言葉を変え、我が家に定着してきているのだろうか。大人になったこの子たちには、一生強い絆でつながっていて欲しいと願う。
 そんな私は、いつか渋く低い声に成長した我が子が「おふくろ、体に気をつけろよ」と、私にもいたわりの言葉をかけてくれる日を夢見て、日々子ども達を見守っている。



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草原
やまぐち子育て連盟 http://yamaguchi-kosodate.net
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