「今を重ねて生きる」
萩市立萩東中学校 2年 山本 悠輔
私には今の自分を支えてくれる大切な成功体験があります。それは、小学生最後の持久走大会で優勝したことです。
私はどんな運動も、体の動かし方がうまくのみ込めず、コツをつかむまで時間がかかります。走るのも遅く、小学5年生まで逆上がりもできませんでした。要するに、運動が苦手なのです。
そんな私がどうして優勝できたのか。一言で言い表すなら「今を積み重ねたから」です。そして自分に与えられた回数をクリアしたからだと思います。
「今を積み重ねる」とはどういう事かというと、周りの目や過去や未来を気にすることなく、ただ今やるべき事に集中し、努力をし続けるという事です。
私が毎日走り始めたきっかけは、3年前のワールドベースボールクラシックをテレビで観戦したことでした。大谷翔平選手のプレーや野球に対する姿勢に感動し、自分も運動ができるようになりたいという思いが猛烈にわいてきました。居ても立っても居られず、すぐにできることは走ることだったので、とにかく毎日学校から帰ると家の周りを走りました。お腹が痛くて歩くだけの日もあったし、筋肉痛で足がうまく動かない日もありました。
それでも、がむしゃらに毎日毎日走り続けた結果、運動会でリレーの選手に選ばれ、その頃には走ることが楽しくなっていました。持久走大会で優勝することは自分の中で目標になり始めていたと思います。1年生の時は後ろから3番目でゴールした私に、毎日何かをコツコツ続けるという地道な行為が、大きな自信を持たせてくれました。そして、6年生で優勝という結果をもたらしてくれました。
努力の継続は簡単ではありません。それでも自分にそれができた理由の一つに、ある考え方を身につけた事が挙げられます。それは、人それぞれ、物事を成し遂げるまでの回数が違っているということです。
私が逆上がりができるようになるまでの練習回数は百回をはるかに超えていたと思います。でも、ある人は十回でクリアできるし、たった一回でできる人もいます。不公平に思えるかもしれないけれど、物事によって人それぞれに与えられた回数が違っているのだと思えば、私に与えられた回数まで、黙々と目の前の練習をするしかないと思えたのです。こうやって考えると、何度やってもできなかった逆上がりも、「次でクリアできるかもしれない」と思えてきて、その手前でやめてしまうのが惜しくなり、あと一回、もう一回と続けることができたのです。そして続けていればいつか私に与えられた回数が必ずやってくるのだと信じる気持ちが希望となりました。走ることも、いつの間にか持久走で優勝できるまでの回数を超えていたのだと思っています。それが何回なのか、あらかじめ知ることはできないけれど、続けているうちに、今と向き合えている充実感で、回数や結果はどうでもよく思えてきます。答えのない、分からない状態を保ち続け、耐える力も、「今を積み重ねる」ことで身についたのかもしれません。
だから私は、何か上手くいかないことがあっても、この小さな成功体験に立ち返って、心を前に押し出します。目の前の今できることに集中すること。コツコツと小さな努力を継続すること。毎日を同じ思いでいることを積み重ねることで、この一年を全く違う一年にすること。そうしたら、想像もできない自分に出会えると信じて今を生きています。