 砂川博史 先生(小児科医) |
 子どもたちはお母さんの隣か、会場後ろの託児コーナーで遊んでいたよ |
 質問の時間にはたくさんの質問が寄せられました。 |
7月5日(木)萩市立児童館にて子育て応援講座「病気には”旬”がある〜むやみに恐れるなかれ、適切に備えよう〜」を行いました。
小児科医の砂川先生に身近な子どもの病気関係の事をお話しいただいた後に、テーマでもある年齢・発達に応じて起こりやすい病気の事や、子どもの普段の様子をよく見ておくこと(と、その変化に気づくこと)の大切さ、#8000(小児救急医療電話相談)を活用しようというお話を伺いました。
ママたちの関心の高いテーマに、みんな熱心に話を聞いて、質問を寄せていたよ。特に薬の飲ませ方に質問がよく出て、「子どもの症状が落ち着いたら薬はいらないのか」という話題には、抗生物質はきちんと最後まで飲ませることをよくお話されていました。
<講演の内容>
・乳幼児の年齢と死亡数(令和5年版)
1歳までは、山口県は全国平均より死亡率は低め
この30年で減ったもの・・・・・乳幼児突然死症候群、周産期に発生した病気
変わらないもの・・・不慮の事故や心疾患
増えたもの・・・・・新生物(腫瘍)
・発育とともに罹る・出てくる病気は変わっていく
・内因性疾病 健康そうに見えるが、もともと体質として持っている、
または先天性の疾病が顕在化していない場合が多い。
・外因性疾病 元来健康であって病気などもまったくもっていない状況にあり、
ふいに体外からの侵襲によって体調不良が生じる。
感染症、生活習慣病もこれに含まれ、多くは予防可能。
・乳幼児の疾病対策
<内因性>
・検診

妊婦検診

タンデムマススクリーニングテスト

申請時聴力検診

乳幼児健診

結核検診
目的:異常の早期発見によって、今後の適切対応の時期を逃さず、
本人の健康的生活を確保する。
・予防接種 定期接種と任意接種
<外因性>
・母体からの移行免疫(胎盤や母乳から)の働き(次の病気に対しての有効な期間)
・風疹(生後6か月)
・はしか(生後3か月まで非常に有効、のち消失)
・百日咳(母子免疫が期待できない、新生児からり患しやすい)
→乳児期の突然死の原因の一つ
・ジフテリア(母親が免疫を持っていない場合がある)
・日本脳炎(母親が免疫を持っていない場合がある)
・水痘(生後1か月ほどで消失)
・おたふくかぜ(生後10か月)
※母乳中のLga抗体:初乳などに特に含まれる。腸管の粘膜免疫能を高め、腸内細菌叢を調整する。
・自然免疫・・・発熱反応を代表とする各種抗ウイルスケモカイン、サイトカイン
・ワクチン接種・・・VPD( Vaccine Preventable Disease)ワクチン接種によって予防できる疾病
<乳児期の感染症で怖いもの>
ワクチンがあるもの
・ロタウイルス胃腸炎:重症脱水症 → 死亡
・ジフテリア:呼吸困難、心筋炎 → 死亡
・百日咳:無呼吸 → 突然死
・破傷風:呼吸筋麻痺 → 突然死
ワクチンがないもの
・アデノウイルス(プール熱):呼吸器感染症、胃腸炎
・かぜ’(症候群):再気管支炎、肺炎(RSウイルス)
・手足口病:急性髄膜炎、急性脳炎
・ノロウイルス胃腸炎:胃腸炎、脱水症
・ヘルパンギーナ:まれに髄膜炎や心筋炎
・りんご病(伝染性紅斑):妊娠中に感染すると、まれにおなかの赤ちゃんの異常や流産
などなど
・「ねつ」ってなんだろう?
・鬱熱(うつねつ)・・・プログラム外れた体温上昇
→生体機能の低下・障害 → 熱中症・死亡
冷やす必要がある
・発熱(はつねつ)・・・プログラムされた体温情報
→生体防御機能の増強 → 熱性けいれん
基本的に下げてはいけない
<発熱対応フローチャート>
★急な発熱
ぐったり・嘔吐・けいれん・顔面蒼白 →→YES →緊急受診
↓↓ NO
食欲あり・あやせば笑う・機嫌よし →→YES →自宅で経過観察
↓↓ NO
水分補給をしながら自宅で数時間観察
→ だんだん様子が・・・悪くなって → 営業時間内に受診
よくなって → 回復するまで観察を続ける
・「くう・ねる・あそぶ」と重症度の目安
・くう・・・食べる、飲む、出す、成長する(良好、ほぼ普通、やや不良、不良〜不能)
・ねる・・・すやすや眠る(良好、ほぼ普通、やや不良、不良〜不能)
・あそぶ・・遊ぶ、喋る、機嫌(良好、ほぼ普通、やや不良、不良〜不能)
3つの基準を0点良好、1点ほぼ普通、2点やや不良、3点不良〜不能と診て、
点数が時間とともに増加するようなら医師に相談した方がよい。(ほぼあらゆる病気に通用する)
たとえ3日分の薬をもらっていても、その日の夜に悪化が見られる場合、
翌日(場合によっては深夜でも早急に)もう一度受診をした方がよい。
・いざという時の相談先
小児救急医療電話相談(#8000)